バッツ君の就職活動 続編(社会人編)

課長 「おい、レナ君。」
レナ 「なんですか?」
課長 「茶だ。」
 そう言って課長はレナに湯呑みを突きつけた。
レナ 「(なんですってぇええ!タイクーン王女の私にお茶くみをしろだとぉおお!!)」
課長 「ん?どうした?」
レナ 「(にっこり)いいえ、なんでもないですよ〜。ちょっと待っててくださいね〜。」
 給湯室に向かうレナ。

レナ 「セリス。悪いけどそこのぞーきん取ってくれる?」
セリス 「ぞーきん?何に使うの?」
レナ 「知らない方が身のためよ(ギラーン)。」
 湯呑みにお茶の葉をいれ……、
レナ 「こんのクソ課長が!てめーはぞーきんスープでも飲んでろ!!」
 熱湯を雑巾に染み込ませ湯呑みにしぼり落とす。

レナ 「はい、課長。でも熱いから少し冷ましてから飲んだほうがいいですよ。」
課長「そうか。いや、気が利くね。」
 数分後大パニックが発生するが、その時にはすでにレナは営業に出かけていた。

バッツ 「今日の取り引きは重要なんだ。」
ファリス 「頑張ってこいよ。」
バッツ 「一人じゃ不安なんだよ!ファリス〜、一緒に来てくれよ〜!!」
ファリス 「バカ言え!オレだってオレの仕事があるんだぞ。」
バッツ 「もうファリスはノルマ達成してるじゃないか〜!頼むよ!一緒に来てくれ!!」
ファリス 「ダメだ。」
バッツ 「どうしても?」
ファリス 「どうしても。」
バッツ 「ファリスはオレがクビになればいいと思ってるんだな。」
ファリス 「なんでそうなるんだよ!」
バッツ 「いいんだ、いいんだ。どうせこのまま行ったってオレは取り引き失敗するんだ。そしたらもうファリスとは会えなくなっちゃうんだ。いじいじ。」
ファリス 「いい加減にしねえと殴るぞ。」
バッツ 「(ひええええ、逆効果!!)分かった!悪かった悪かった!!一人で頑張ってくる!!」
ファリス 「……ったく…。今回だけだぞ。」
バッツ 「わあい!やっぱりファリスは優しいな!」
ファリス 「……こうやって毎回バッツのペースにはまるんだ。」
バッツ 「まあまあ。じゃあ行こ行こ。そのかわりメシはおごるからさ。」

 バッツとファリスが出発したあと、廊下に怪しげな人物が。
ギルガメッシュ 「ふっふっふ。入社試験は失敗してしまったが、ファリスと同じ職場に入る手はいくらでもある。まさかこのオレが掃除のおばちゃんに扮装しているとは夢にも思うまい!なあ、エンキドウ!」
エンキドウ 「だったら一人でやって下さいよ!なんでオレまでこんな格好しなきゃなんないんスか(号泣)!!」
ギルガメッシュ 「バカおめえ!一人だと目立って恥ずかしいだろうが!」
エンキドウ 「二人の方が余計恥ずかしいっスよ!!」
ギルガメッシュ 「とにかく!掃除に行くフリをしてファリスに会いに行くぞ!!」

 営業課に忍び込んだ二人。
ギルガメッシュ 「ハイハイごめんなさいネ。ちょっと掃除しますからね。」
セシル 「うわ!えらくゴツイおばちゃんだな。」
クラウド 「興味ないね。」
セシル 「興味とかの問題じゃなくて嫌でも目に止まるだろう。」
エンキドウ 「ギルさん。こんなみんながいる時に掃除しなくても。」
ギルガメッシュ 「誰もいない時にやってもファリスに会えねえじゃねーか!」
エンキドウ 「いや、会えても多分オレ達見たらダッシュで逃げるような気がするんですけど…。」
ギルガメッシュ 「つべこべ言うな!ほら、エンキドウ!そこにゴミ落ちてるぞ!!」
エンキドウ 「ずいぶん一生懸命やるんスね……。」
ギルガメッシュ 「パート代も稼がなきゃなんねえからな。」
 エンキドウ、ホワイトボードに気付く。
エンキドウ 「ところでギルさん?今ファリスは外回りに出かけてるみたいスよ?」
ギルガメッシュ 「なっ…なんだと〜〜〜!?」

 適当な店で昼食をとる二人。
バッツ 「あれ?よく考えたらファリスっていつも弁当持ってきてたんじゃなかったか?」
ファリス 「ああ、今日はうっかり忘れてきちまってさ。だからどっちにしろどっかで食うつもりだったんだ。」
バッツ 「へえ。じゃあちょうど良かったな。」
ファリス 「一番高いの頼んでやろうか。」
バッツ 「そ、それは勘弁してくれ!給料日前で苦しいんだ!」

 そうとも知らず海賊子分がファリスの弁当を届けに会社にやって来ていた。
子分 「おかしらも意外とドジだなあ。きっとハラ空かしてるだろうし、急いで持ってこっと!」
 そこで掃除のおばちゃんに出くわした!
子分 「うわあ!妖怪!」
ギルガメッシュ 「む!!おまえ、ファリスの手下だな!」
子分 「そう言うお前はブラックゴブリン!!」
ギルガメッシュ 「誰がブラックゴブリンだ!一体なんの用だ!?」
子分 「おかしらに弁当を届けに来たんだ。」
ギルガメッシュ 「ファリスに?それ…ファリスの弁当か!?」
子分 「そうだ。おかしらに会わせてくれ。」
ギルガメッシュ 「ファリスはちょうど外回りだ。」
 その言葉にひざから崩れ落ちる子分。
子分 「そ…そんな…!オレの…オレの夢が…!!」

(子分の夢)
ファリス 「あ〜。ハラ減った〜。空腹で死んじゃうよ〜。」
子分(美化120%) 「おかしら〜!弁当持ってきましたよ〜!!」
ファリス 「え!?お前がどうしてここに?」
 そこでファリス子分の擦り切れた靴を見る。
ファリス 「わ…わざわざこれだけの為にこんな苦労を?」
子分(美化180%) 「大好きなおかしらにひもじい思いをさせるわけにはいかないっスから!」
ファリス 「……………。」
 ファリスは目が熱くなるのを感じた。
 同時に速くなる胸の鼓動。
ファリス 「○○(子分の名前)……。」
子分(美化256%) 「おかしら……。」
 見つめ合う二人。二人の影が重なり合っていく。

ギルガメッシュ 「おい!」
子分 「うぎゃあああああ!!!」
ギルガメッシュ 「うわっ!ビックリした!なんなんだお前は!!」
子分 「何だじゃねえよ!キスする寸前でおかしらの顔がてめえに変わったじゃねえか!!」
エンキドウ 「なんだそりゃ?」
ギルガメッシュ 「おい。その弁当、帰ってきたらオレが渡しといてやるよ。おめーだっていつまでもここに居る訳にはいかんだろ。」
子分 「(う…。どうしよう…自分で渡さなきゃ意味がないし…。)」
ギルガメッシュ 「安心しろって。お前がわざわざ届けに来た事は伝えといてやるから。」
子分 「ほ…ほんとっスか!?じゃあ、たのんます!」
ギルガメッシュ 「おう、まかしとけ。」
子分 「絶対スよ!?絶対の絶対の絶対っスよ!!」
ギルガメッシュ 「おう分かった分かった。さっさと帰れ。」

エンキドウ 「ギルさん。ファリスがいつ帰ってくるか分からないし…、多分どっかで食ってると思いますよ?」
ギルガメッシュ 「別に構わねーよ。オレが真心込めて作った手作り弁当と言って渡すだけでいいんだ。それにファリスに話しかけるきっかけにもなるだろ?」
エンキドウ 「なるほど。人の手柄を横取り!さすがワルっスね、ギルさん!」
ギルガメッシュ 「あたぼうよ!ダテにエクスデスの片腕やってなかったぜ!」
 そこで二人の腹が鳴る。グキュルルル…。
エンキドウ 「…オレ達もハラ減って来たっスね…。」
ギルガメッシュ 「朝から食ってねえしな……。」
 二人、ファリスの弁当を見つめる。
ギルガメッシュ 「………。」
エンキドウ 「………。」
ギルガメッシュ 「ダッ…ダメだダメだダメだダメだ!!これはファリスのだぞ!」
エンキドウ 「いや、何も言ってないっスよ…。」

 ぐきゅるるるるるるるるる…。

ギルガメッシュ 「………。」
エンキドウ 「………。」
ギルガメッシュ 「……でも、…まあ…ちょっとぐらいなら……わかんねえよな…?」
エンキドウ 「……そ…、そうっスよねェ……!」

 パクパクパクパク。
 ムシャムシャムシャムシャ。

ギルガメッシュ 「ぐわ――――っ!!全部食っちまった―――――!!てっめえ!もっと考えて食え!!」
エンキドウ 「オレは玉子焼き1個食っただけじゃないっスかァ!人のせいにせんで下さいよ!!」
ギルガメッシュ 「わははははっ!!わりいわりい。」
エンキドウ 「でも、どうしましょう。ファリスにバレたらオレら命ないっスよ。」
ギルガメッシュ 「は?どうかしたか?ファリスの子分なんてここには来なかっただろ?」
エンキドウ 「へ?」
ギルガメッシュ 「この弁当箱は、ファリスのとそっくりなオレの弁当箱だよな。」
エンキドウ 「そ…そうそう!そもそもファリスの弁当箱をオレ達が持ってるわけないっスよね!」
ギルガメッシュ 「だから、オレがオレの弁当を食っても問題ないワケだ。」
エンキドウ 「その通り!!」
ギルガメッシュ「だからオレは何もファリスに嫌われるような事はしてないのだ。よし、これにて一件落着〜〜〜!!」

 その頃のバッツとファリス。
バッツ 「うわ〜…、また緊張してきたぞ〜〜〜。」
ファリス 「そんなに緊張しなくても、「いろめ」とか「ゆうわくのうた」とか使えば、簡単に済むぜ?」
バッツ 「いや…、オレはクリスタルの力に頼らずに自分の力でやりたいんだ。それに、そんな手で交渉をまとめたらサギとおんなじだ。お互いが心から納得してこそ、本当の契約成立なんじゃないかな。」
ファリス 「バ…バッツ…。」
バッツ 「はは…。ちょっとクサかったかな。」
ファリス 「ううん。バッツの言う通りだよ…。」
バッツ 「さて…、そろそろ行こうか…。」
ファリス 「バッツ…、お前…カッコ良くなったな…。」
バッツ 「ん?なんか言ったか?」
ファリス 「ベっ…べべ別にっ…(赤面)!そっ…、それより早く行こうぜ!相手も首を長くしてるだろうしさ!!」
バッツ 「わわっ!引っ張るなよ!」

 一方、この時間営業課はもぬけのカラだった。
 本来は課長が留守番しているはずだったのだが、レナの雑巾茶を飲んで体調を崩し早退してしまったのだ。
 まあ、それを差し引いても無用心と言えば無用心であるが…。
ギルガメッシュ 「誰も居なくなっちまったな。」
エンキドウ 「もう、帰りませんか?」
ギルガメッシュ 「あほう。それじゃなんのためにこんな恥ずかしい格好して忍び込んだかわからねーだろ。今からファリスの机を掃除するぞ。」
エンキドウ 「は?」
ギルガメッシュ 「真心だよ、ま・ご・こ・ろ。損得抜きでファリスに喜んでもらうんだよ。」
エンキドウ 「なるほど!」

 ファリスの机の前。
エンキドウ 「きれいっスね…。掃除する必要ないような…。」
ギルガメッシュ 「ファリスの事だから散らかってると思ったんだが…。」
 何気なく引出しをあけてみた。
 すると中にバッツの写真が!
ギルガメッシュ 「なっ…!!」
エンキドウ 「おおっ!!」
 ショックを隠せないギルガメッシュ。血の涙が頬をつたう。
ギルガメッシュ 「ちっ…ちくしょう…。バッツのヤツ〜っ…。」
エンキドウ 「破っちゃいましょうか。」
ギルガメッシュ 「…いや…、それはオレの最後の安っぽいプライドがゆるさねえ。
これを破ったらオレはバッツにかなわないと認める事になっちまう。」
エンキドウ 「ギ…ギルさん……。」
ギルガメッシュ 「はは…ちょっとクサかったかな。」
エンキドウ 「ううん。ギルさんの言う通りスよ。」
ギルガメッシュ 「さて…、そろそろ始めるか…。」
エンキドウ 「ギルさん…、…アンタ……カッコよくなったっスね…。」
ギルガメッシュ 「ん?なんか言ったか?」
エンキドウ 「ベっ…べべ別にっ…(赤面)!そっ…、それより早く片付けましょうぜ!いつファリスが帰ってくるかわからないし!!」
ギルガメッシュ「わわっ!引っ張るなよ!」
 ………気色悪いわ!!

ギルガメッシュ 「でもなんか悔しいからオレの写真も入れておこう。」
 ギルガメッシュは、ファリスの机の引出しに自分の写真を入れた。
エンキドウ 「ところでギルさん。ひょっとしたら口紅とかあるかもしれないスね。」
 この言葉にギルガメッシュの理性は崩壊した。
ギルガメッシュ 「そっ…そうかも!おい、探せ探せ!持っていってるとは限らんぞ!!」
 掃除をするはずだったのに、逆に机やカバンの中身をひっくり返し始める二人。
エンキドウ 「あ、このCD欲しかったんだ。もらっちゃおう(←犯罪)。」
ギルガメッシュ 「なんか釣り雑誌まで出てきたぞ。ふむふむこのポイントは…。」
エンキドウ 「あ、花瓶倒しちゃった。」
ギルガメッシュ 「あ、筆箱落とした。」
エンキドウ 「おわっ!なんか大事そうな書類を踏んじゃった!」
ギルガメッシュ 「あぎゃー!バケツの水こぼした!!」
エンキドウ 「………。」
ギルガメッシュ 「………。」
エンキドウ 「……逃げましょう。誰も来ないうちに。」
ギルガメッシュ 「……そうするか。」

 日も暮れてバッツとファリスはニコニコして帰ってきた。
バッツ 「いやー。取り引き成功!これもみんなファリスのおかげだよ。」
ファリス 「お…オレは何もしてねえよ!お前の熱意が通じたんだろ。また君から買いたいって言ってくれたじゃないか。」
バッツ 「いや、ファリスが一緒にいてくれたからオレも勇気が出せたんだ。」
ファリス「………(赤面)。」
 そこへ息を切らしたレナがかけ寄ってくる。
バッツ 「どした?(くそ、いい所で!)」
レナ 「た…、大変よ!泥棒かなんかが入って、ファリスの机メチャクチャになってる!!」
ファリス 「なっ、何っ!?」
 あまりの惨状に呆然と立ち尽くすバッツとファリス。
バッツ 「ひでえ…。誰が一体こんな事を……。それもファリスの机だけ…。」
レナ 「ファリス成績いいし、上司からも評判いいから…。誰かがねたんでやったのかも。」
ファリス 「ん…?何だこりゃ。」
 ファリスが何かを発見した。

 夜の街を歩く二人。
エンキドウ 「ファリスに悪い事しちゃいましたね。」
ギルガメッシュ 「ああ(自己嫌悪)。」
エンキドウ 「そんな落ち込まないで下さいよ。分かりゃしませんて。」
ギルガメッシュ 「いやー、すぐにバレるな。」
エンキドウ 「な…何でっスか?」
ギルガメッシュ 「バッツに対抗してオレの写真も入れてきちまっただろ?」
エンキドウ 「あ……!」
 エンキドウは背筋が凍りついた。

ファリス 「ああ、そうか。確かにお前が見たのは覆面した大男だったんだな。」
子分 「へい、女装してましたけど。そいつにきっちり弁当渡しました。」
ファリス 「分かった。ご苦労だったな。」
 受話器を置く。
効果音「ゴゴゴゴゴゴゴ………!!」
ファリス 「フッフフフ…。証拠に目撃証言…。どうしてくれよう…。」
バッツ 「ファッ…ファリス…、…怖いよ〜……。」
 その後ギルガメッシュとエンキドウの姿を見たものはいない。


もんちっちのたわ言(あとがき)

 どうも!海のように心の広い皆さんのご好意に甘えまくり、調子に乗って続編を書いたもんちっちです。 
 大体2番煎じってのは面白くないのは相場で決まってるんですよね(爆)。
 これも例外じゃないと思います(水爆)。
 大体会社風景の知識がないのでリアリティにも欠けます(核爆)。
 今回はやけに人気の高かったギルガメッシュとエンキドウを中心に据えました。
 おかげでその分バッツとファリスの出番が減ってしまってます。
 ガラフにいたっては登場すらしてない……。
 とは言ってもFINKに投稿するからにはバッツ×ファリスの要素を欠かしてはいけないので、
 出番が減ったかわりに意味もなくイチャつかせました。これで勘弁して下さい(笑)。
 次回作は頑張ります……(まだ出す気か!)。

今度は就職してからのお話なんですね♪
バッツ×ファリス且つギル→ファリスですねぇ(笑)
ギルの行動がすべて裏目にでちゃっているのがなんともギルらしいです(w

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