夢と現実の狭間で
ファリスは城を抜け出し、古代図書館で本を探していた。そんな時見つけたのは・・・。
「えーっと。何か面白そうな本はないかな・・・」
ここは古代図書館。遥か昔の本が数多くあるところだ。
そんなところでファリスは暇を潰すのに最適な本を探している。エクスデスを倒し
て世界が平和にため、彼女は暇で仕方がない。一国の王女なんて堅苦しいのは苦手な
ので、こうして城を抜け出しているのである。
(早いよな、あれからもう1年経ったんだもんな・・・)
ファリスはふと、本を探す手を止めて考えた。かつて共に戦った仲間のことを──
─。
彼女の妹であるレナはタイクーンで親父の後を継いで女王になったし、クルルもやっ
ぱりガラフの後を継いでバル城の城主となった。
そしてバッツは───。
(あいつは相変わらず旅を続けてるんだろうな・・・)
時々手紙はくれるものの・・・もうかなり会っていない。
ファリスはなぜか寂しく感じた。
そんな時だった。オレがある1冊の本を見つけたのは───。
(『過去を旅する本』? 何だよ、ソレ??)
ファリスは時々思う。世界が平和になる前の方がオレにとって充実していた、と─
──。
(・・・何考えてんだ、オレは)
自問自答してみる。答えは見つからない。
(過去、か・・・。見てみるか)
彼女は退屈しのぎになればと思いつつ、本を開いた。
「何だよ、ナニも書いてないじゃん」
ほんの中には何も書かれていなかった。ただの白いページがずっと続いているだけ。
(ジッと見てたら暗号が浮かんで・・・くるわけないよな)
そう思って、目を離そうとしたら頭が急に痛くなってきた。
『アナタノ・・・ミタイカコハナニ?』
そんな声が聞こえたような気がした。
(オレは・・・オレはあの頃へ行きたい───)
薄れる意識の中でファリスはそう願ってしまっていた。
(ここは・・・?)
気がついた時にはファリスは見覚えのある場所に立っていた。
(間違いない、ここはオレの船・・・)
そこに3人の人影。バッツ・レナ・ガラフだ。
「何してる!」
(あ、オレだ)
1年前のファリスが子分を連れてバッツ達の前に現われた。
(これがあいつとの出逢い・・・。ハッ、オレは何を考えてるんだろう?)
ファリスは自分自身に言い訳しまくっていた。
そして気がつくと場面が変わっていた。
「シルドラ・・・」
本当は泣きたかったあの時。しかし、ファリスはみんながいる手前、泣けなかった。
あの時彼女はどんだけ悔やんだことか。
「シルドラがいない世界なんてオレは───」
「シルドラは生きてるさ。ファリスがそう思う限りな」
ウォルスの隕石付近の海岸でバッツがファリスにそう言ったこと・・・。
(正直、バッツに励まされなかったら・・・。オレ、どうなってたんだろうな・・・)
ファリスははすっかり思い出に浸っていた。
その後も次々に場面が変わっていった。
リックスの村でバッツが話してくれたバッツの過去のこと。
タイクーン城が『無』に呑まれてしまって、レナを救えなかったこと。
シルドラがファリスのためにアジトでずっと待ち続けていたこと・・・。
平和だけどつまらない日々。
毎日が新しい発見だったあの頃・・・。
(ずっとこのままでいたい───)
過去を見ているうちにいつしかファリスは強くそう思うようになっていた。
「大変! ファリスが、ファリスが!!」
「ミド、どうしたんじゃ。そんなに慌てて」
いきなり慌てふためく姿を見てシドは自分の孫に訊ねた。
「ファリスがあの本を開いてしまったんだ」
「何じゃと! あの本っていうのはモンスターが取り憑いている本のことか!!」
古代図書館には本に取り憑いているモンスターが数多くいる。その多くは開いた人
間を本の世界に誘い、その魂を生きる糧にしようとするのだ。
ファリスが開いてしまった本にもそのモンスターが取り憑いていたのだという。そ
れも並みの強さでない、強力なのが───。
「本に取り憑いたモンスターを倒せば全て解決することだが、問題は誰が倒すかとい
うことだ」
「ここにバッツがいれば・・・」
そんな時、この古代図書館の入り口を開ける者がいた。栗毛色のクセッ毛に赤いマ
ントを羽織り、腰には伝説の長剣───エクスカリバーを提げた人物───バッツ=
クラウザーその人であった。
「バッツ!! いいところに来てくれた。ファリスを助けてやってくれ」
「ファリスがどうかしたのか?」
バッツの口調はいたって落ち着いている。
「モンスターの取り憑いた本を開いてしまったんです」
「で、それを俺が倒せっていうのか。・・・分かった、やってみる」
バッツはファリスが開きっぱなしにしていた本を手に取り、ページをめくった。す
ると、持っていたクリスタルのかけらが煌めき、バッツの姿はたちまち消えていった。
歪んだ空間───バッツは似たような感覚を肌で感じ取った。
「まるで『無』の中にいるみたいだな」
ファリスの魂とモンスターのいる方向を直感で探る。
(いた・・・あっちだ!)
ファリスを捕らえてるもの───それはモンスターというよりも怨念のこもった悪
霊のような存在だった。
『ワタサナイ・・・ワタサナイゾ。コノタマシイハワタシノモノダ!』
「ちっ、 黒の衝撃とガードオファの2段攻撃・・・」
青魔法を一度に喰らい、バッツの能力は普段の半分以下にまで下がってしまった。
(どうせ防御力が下がってるんだ。盾なんかいるもんか!)
源氏の盾をかなぐり捨て、バッツはエクスカリバーを正眼に構えた。ナイトのアビ
リティー『両手持ち』である。
「喰らえ、剣フレア!」
さっきの黒の衝撃でレベルが半分に落ちているせいもあり、いくら伝説の12の武
器といえども致命傷には至らない。
『ジャマヲスルモノハ・・・ケスノミ!』
悪霊は眼を光らせ、メテオを放った。流星が激しく降り注ぎ、この次元そのものを
揺るがす程の衝撃が走る。
「ファ・・・リ・・・ス!」
バッツは思わず片膝を付き、彼女の名前を呟いた。
焦点が定まらず、バッツの能力も限界に近付いている。為す術はないのだろうか。
(いや、まだだ・・・。俺は、俺は───!)
「絶対にファリスを助けるんだぁぁぁぁぁっ───!!!」
バッツの力が、心がそうさせたのか───。彼が無我夢中で放った一撃は会心の一
撃となって悪霊の胸元に深く刻み込まれたのであった───。
(あれ・・・オレはどうしたんだろう?)
ファリスは夢を見ていたことを自覚する。そして本を静かに閉じた。次に彼女は周
りを見渡し、自分の身体に注意を向けた。
自分の身体が被っているもの───それは炎のような真紅の外套。彼女はそれが誰
の物であるかすぐに気がついた。
「よお、目は覚めたか?」
「バッツ!」
ドアを開けて入ってきた青年───それはファリスが1番逢いたかった人物であっ
た。
「何で・・・何で今まで来なかった・・・んだよ!」
声が震えている。彼女は自分の目が熱いのを意識して俯いた。
「だからさ・・・こうやって逢いに来てやっただろ」
ファリスから外套を受け取り、頭を掻きながらバッツは言った。
「俺だってやっぱり・・・ファリスがいなきゃダメだ」
俯いたまま泣きじゃくるファリスをそっと抱きしめた。ほのかに香る甘い芳香がバッ
ツの鼻をくすぐる。
そこには普段の強気な彼女はいなかった───。
後書き
うわ〜、うわ〜、うわ〜! 恥ずかしい・・・(>Θ<)私の初のバツファリ(ちっ
ともなってないけど)でしたが、全くの駄作ですね。全国のバツファリストのみなさ
んが見たら絶対にお怒りになるでしょう。・・・もっと修行します(汗)こんなここ
まで駄文に付き合って下さった方、本当にありがとうございましたm(_ _)m
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