悲しき海賊の運命
オリキャラ紹介
カガル
海賊ランク超一流のベテラン海賊。イタスランとは馬が合う。その反面ランクなしの海賊をあざけ笑う一面も。
イタスラン
海賊ランク超一流のベテラン海賊。カガルと仲がいい。冷静で物事をちゃんと考えることができる。
ゾルスタウ
海賊ランクなし。つい最近両親が死亡し、アジトの近くを通りかかった時に海賊に拾われた。マイペースで何があってもくじけない。
クリン
海賊ランクなし。両親の都合で親戚のいる海賊団に引き取られた。優しく、料理が得意。ゾルスタウとカガルにあこがれている。
ダンチョウ
ファリス側近の海賊。ファリスのまね事が好きでファリスの言いそうな事を言う。カガルとイタスランが気に入っていて、ゾルスタウとクリンには厳しい。
―俺達は救われない。海賊としての人生を歩んでしまったから―
ある人がそうつぶやいていた。そう、そのある人とは海賊の頭―ファリスのことである。
ファリスは前はここの住人ではなかったが、ある事件をきっかけにここに住むことになり、頭となったのだ。
しかし、あんなことを言いながらもファリスはこの生活に不満はなかった。それはちゃんと生活に必要なものは盗むことで手に入れられるからだ。
今日も海賊の仕事の時間がやってきた。ファリスは今日の出勤者を決めた。そして、全海賊を集め、
「今日仕事をしてもらう者はカガル、イタスラン・・・・・・・ゾルスタウ、クリン。以上だ。」
「おお、今日は超ベテランのカガルとイタスランがいるぞ!」
「でも初心者の中で特に初心者なゾルスタウとクリンもいるけどね。」
「でもこの前出勤した人らは全員休憩してるし仕方ないんじゃない?」
「そう。それにお頭の言う事に間違いはないしね。」
「静かにしろ。さっき指名されたやつらは全員船に乗れ。行くぞ。」
「ゾルスタウ、何か心配だね。私達で大丈夫なのかな。」
「大丈夫さ。お頭は僕らを信用しているから僕らを選んでくれたんだ。それに僕ら以外に仕事ができる人はいないからね、クリン。」
ゾルスタウとクリンはそう話し合っていました。と、そこに、
「甘いね、君達。」
カガルとイタスランがやってきました。
「カガル先輩、イタスラン先輩。ここは先輩達は来てはいけない所ですよ。」
「ああ、そんなの平気よ。こうゆうの世間ではこんなことぐらいで怒られないのよ。」
「そうですか。それでさっきの甘いというお言葉はどうゆうことなんですか?」
「ああ、そうだったね。君達はただの数合わせにすぎないのさ。かわいそうに、君達の出番はないだろうね。」
「先輩。確かにあなた達の言う事は正しいと思います。しかし、お言葉を返すようで悪いんですがそんなにはっきり言うのはやめて下さい。」
「僕らにあまり指図しない方がいいよ。あとで君達を傷つけてしまうかもしれないからね。僕らのかわいい後輩に傷つけたくないし。」
「でも今・・・・。」
「『傷つけた』かしら?ゾルスタウさん、クリンさん。こんな事で傷ついてたらこの先やっていけないわよ。」
「はぁ・・・・。」
「ま、せいぜいがんばりな。」
カガルとイタスランはその場を去っていきました。
その頃ファリスは、
「・・・やはり、風が止まったようだな。今日は何か面白い事が起きそうだ。」
と感じていました。
「お頭!あそこに船を見つけやした!」
ダンチョウがやってきて言いました。
「そうか。よし、突入だ。たぶん船はこれを最後に運行しなくなる。しぼれるだけしぼりとれ。」
「イエッサー!」
海賊達はその船に飛び乗りおそいました。
「俺達は海賊だ!金目の物をもらいにきた!」
「金目の物はあたしらで探す。あんた達はおとなしくしてな!」
カガルとイタスランの威圧感で船員達はたじたじです。
ここの海賊団超一流海賊が船員を威嚇し、そこを他の海賊達が金目の物を探すのです。
「ふふふ。今日もみんなじっとしてるわ。」
カガルとイタスランはその時油断しました。それに気付いた船員の1人が棒をかまえて今にも2人の上に振りおろさんばかりでした。
「カガル先輩、イタスラン先輩危ないです!」
それに気付いたゾルスタウとクリンがその船員に飛びかかり、睡眠薬で眠らせました。
カガルとイタスランは驚きました。
「ゾルスタウさん、クリンさん。」
「なんてすごい早わざなんだ。」
「金目の物はこれで最後だな。引き上げるぞ!」
ファリスとダンチョウ達はアジトに戻りました。と、そこに、
「キャプテンダンチョウ!あそこ!何か落ちてきます!」
海賊の1人が空に落下物があるのを発見しました。ダンチョウは、
「お、本当でやす。お頭!空から何か落ちてきやす!」
と、ファリスに報告しました。ファリスは、
「そうか。ではここにいては危ないな。かといってスピードを出しすぎると転覆する。あそこにでも避難するぞ。」
「イエッサー!」
海賊達は近くの陸に避難することにしました。そして、ちょうど船が陸地についたその時、
ズドォォォォォン
遠くの方に韻石が落ちる音がしました。
「ものすごい音でしたね。」
「お頭の考えの通りやしたよ。」
「ん?何か聞こえるぞ。」
ゾルスタウが耳をかたむけました。そして、すぐ近くで、
「クエ―――――!」
なんとチョコボの鳴き声が聞こえました。
「うわぉう!びっくりした!ゾルスタウ耳いいー!」
「こんな所にもチョコボがいたんですね。」
そして数分後、
「もう大丈夫だ。戻るぞ。」
「イェッサー!」
海賊達は船を出発させました。が、その時、
「おい!あの船風がないのにうごいてるぞ!」
「本当だわ、一体どうして!?」
「ねえ。あれって海賊船でしょ。結構いいんじゃない?」
2人の男と1人の女の声が聞こえてきたのです。
「し、侵入者だ!アジトに侵入者がいるぞ!」
「いや、あれはアジトではなくその洞窟から聞こえて聞こえた。アジトからは声は聞こえない。」
ダンチョウはあわてたが、ファリスはそれを否定しました。
「ってちょっと待って!それじゃああの洞窟と我らのアジトがつながってしまったというのですか?」
「どうやら、あのいん石の影響がでてしまったようだ。」
「はぁ・・・・これじゃアジトがばればれではないか!」
「とにかくあの洞窟を調べる必要があるな。誰でもいい、あの洞窟を調べろ。」
「では、私どもが調べてまいります。」
イタスランがもう1つあった洞窟の入口に入り、あの3人より先回りしました。
「ふぅん。普通の洞窟と変わりないようだな。ん?このスイッチはなんだ?」
イタスランがそのスイッチを押すと、
ゴゴゴゴゴゴゴォ
行き止まりだった壁が開きました。
「なるほど。こういうしかけになってるのか。これは皆に知らせておく必要があるな。」
イタスランは中に入りました。が、その様子はあの3人に見られていました。
「おい。あそこはああやって入るみたいだぞ。」
「ふふふ。結構おまぬけな海賊さんね。」
「やっぱりさ、あの船を奪って風の神殿に行こう!」
「お前ってこういうことには素早いな。」
ファリス達もアジトにたどりつきました。
「お頭。はやくあの侵入者をやっつけましょうよ。」
「待ちな。ここは隙を与え、アジトに来たところを取り押さえるんだ。」
「おお。さすがはお頭だ。」
「海賊船盗難を素早くやられた場合に備えてシルドラには眠っておくよう指示する。それとこんな状況でこんなこと言うのもなんだが今からランクの格下げ格上げを決める。カガル、イタスラン。お前達は今日の仕事で油断をして教われそうになったから三流海賊に格下げだ。」
海賊には超一流、一流、普通、二流、三流、ランクなしというというランクがあり、活躍次第でランクは上がったり下がったりするのです。しかし、ランクの上がり下がりはめったに行われません。ちなみにカガル、イタスランは超一流海賊、ゾルスタウ、クリンはランクなしです。
「ゾルスタウとクリンは素早い対処ができたから三流海賊に格上げだ。あとの者はランクは今までと同じだ。」
ファリスが海賊達のランクを決定しました。が、ゾルスタウとクリンは、
「だめです!カガル先輩もイタスラン先輩もがんばりました!それなのにいきなり三流海賊に格下げなんてひどすぎます!」
「どうしてもと言うのなら私達のランク上げなんていりません!」
それを否定しました。
「あなた達、どうして・・・。」
「そこまでしたって許してもらったためしがないってのに・・・。」
「バカなやつだな。せっかく自分達にランクがつくというのにそれをいらないとは・・・・。ねえお頭。お頭・・・・?」
ダンチョウは笑いましたがファリスはしばらくゾルスタウとクリンを見つめ、
「お前らがいくら言ったって規則は規則だ。カガルとイタスランは今日から一流海賊だ。」
「ええ!?」
「その2人の言い分に免じて今回だけはランクは1つ格下げにする。」
「お頭。ありがとうございます!」
(どうやらこれが面白い事だな。)
「あ、あの侵入者が来ます!」
「よし。全員隠れろ。」
全員奥の部屋に隠れました。が、逃げ遅れたイタスランとゾルスタウは入り口でタヌキ寝入りをしました。そしてあの3人がやってきました。
「お、全員いねむりしてるぞ。」
「あらら。まるでバッツね。」
「なんだと、レナ!オレがあいつらみたいにマヌケとでもいうのか!」
「そうよ、ガラフ。あんたもそう思うでしょ。」
「そんなことより船、船。」
そんな事を言い残して船のある方に向かっていきました。
「おい。あいつら確かに船って言ったよな。」
「まさかあいつら、オレ達の船を奪う気じゃ。」
「なんつう大胆なやつらだ。」
海賊達がブツブツそうつぶやいている横でファリスは、
「・・・バッツ、レナ、ガラフか・・・・。」
とつぶやいていました。
「お頭、何やってんすか?」
「別に何もしていない。(どうやらさっきの事よりも面白い事になりそうだな。)」
「お頭!どういたしましょうか?」
「そうだな。ではカガル、イタスラン、ゾルスタウ、クリン、そしてダンチョウ、俺と来い。」
「なぜゾルスタウとクリンがお頭に選ばれるのですか?」
「あの2人は天性の素質を持っている。こいつらは訓練次第で強くなる。これも訓練の内だ。」
「お頭・・・・・・。」
「行くぞ。」
バッツとレナとガラフという3人は海賊船の鍛冶までたどり着いていて、
「よーし、出発だぁ!」
今にも船を発進させようとしていました。
「そこまでだ!」
ダンチョウが叫びました。
「・・お前達、俺達の船を盗もうとするとはなんとも大胆だな・・・・。」
「ゲゲ!気づかれちまった!」
「もう!バッツが大声出すからよ!」
「レナこそ『そんな大声出しちゃダメよ!』なんて大声出したじゃんかよ!」
「2人共!けんかはやめて!」
見つかったとたん、3人はけんかを始めました。
(・・・・これは運命かもしれない。こいつらなら俺達を救ってくれるかもしれない。)
ファリスはそう考えました。そしてこう思いました。
―あいつらに俺の運命を任せてみるか―
THE END
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