FF THE BUTZ 〜孤島のバッツ〜


◆前回までのあらすじ◆
バッツはレナ、クルル、ファリスと作戦がバッツの自分勝手な方法ばかりというのが原因でケンカをしてしまう。そして、ジャコールの町で働くことになったが、エクスデスの言葉にすっかりうちのめされてしまう。一方レナ達にもその事が伝えられ、レナはショックで大慌てでバッツを探しに行った。その頃、ジャコールの町に何かが近づいてくるのであった・・・。

「バッツ君。バッツ君たら。この荷物お願いったら。」
「え。あ、すみません。」
バッツはエクスデスの言葉にうちのめされてからは何事にもボーッとするようになり、仕事もはかどらなくなり、部屋に帰ったら完全に自分のからに閉じこもった様子でした。時々涙が流れることもありました。
「バッツ君。最近君変わったね。何かあったの?悩みごとがあるなら言いなよ。」
たくさんの人達にこんな事を言われるようにもなりました。バッツは、
「・・・・・ありがとうございます。でも何でもないから。心配しないでください。」
いつもこういう返事をするばかりでした。
(ずっとここにいたらオレの力はさらに弱まる。でもだからといってここ以外に自分の居場所が見つからない。どうしたらいいんだ・・・・・)
バッツはそのたった1つの疑問に答えを出すことができず、毎日苦しんでいるのです。そして、無意識に自殺をはかろうとしたこともありました。
―そう、バッツはそこまで思い詰めているのです。―
(こうなったらもう本当に死んだほうがいいかもしれない・・・・。)
バッツはついに意志で自殺をすることを決心したのです。毒入りの薬を用意し、今にもそれを飲み込もうとしたその時、
「クエ―――――!」
チョコボが部屋に飛び込んできたのです。バッツはびっくりして薬を落としてしまいまいました。バッツはチョコボを見てはっとしました。
「その首輪・・・まさかお前ボコか!?」
「クエー!」
「わざわざそっちのほうからきてくれるなんて・・・ボコ!」
バッツは目から涙があふれだし、ボコと久しぶりの再会をわかちあいました。これによってバッツは元気を取り戻し、心を少し開きました。
 そして、仕事仲間の人達も、
「バッツ君急に元気爆発したね。」
「前よりもはかどってるんじゃないか?」
とよく言われるようになりました。
(なんだか変だな。問題そのものは解決してないのにこんなにがんばれるなんて。でも今はしあわせだ!あせっててもしょうがないだけだし。)
バッツは少し心を開いただけでこんなににも前向きになったのです。ただ者ではないでしょう。  それから一ヶ月、状況は一ヶ月前とほとんど変わっていないのですが、バッツの幸せ気分なのはかなり変わり、それは前よりも強くなっていました。
「最近なんだか毎日が楽しくてうれしいな。久しぶりに外での仕事だしな。そう思うだろ、ボコ。」
「クエー!」
バッツの今日の仕事は外で原料をとりにいくことになっていました。そこでバッツはこっそりボコを連れてきていたのです。
「えーと、これとこれとあとこれと・・・よし、これで見つけてない原料はあと金色の小石だけだな。」
この仕事もはかどっているようです。10分後にはほとんどの原料を集めてしまいました。
「あ、金色の小石発見!」
バッツが最後の原料を拾おうとしたその時、
カァァァァァァ
奥のビックブリッジにある神殿が輝きだしたのです。そして、バッツはその光に見とれ、集めた原料を全て落としてしまい、その神殿の方へふらふら歩きだしていきました。ボコは、
「クエ?」
不思議そうに首をかしげ、その場に立ち止まりました。
 バッツは神殿の中に入っていきました。目はうつろで歩き方もふらふらです。モンスター達はそんな彼のことが見えないかのように相手にしません。トラップもひとりでに作動し、落とし穴も消えていきました。
 ついに一番奥まできました。そこにはあるはずのない風が吹き荒れていました。今にもなにもかも吹き飛ばしてしまいそいな強い風です。しかし、バッツはそれをものともせず奥まで歩き続けていかました。奥には光るものがありました。それは光りが消え、バッツの目の前に浮かびあがりました。それはまぎれもなく第二の石板でした。バッツはそれに手を差しだしました。もう少しで石板に手がふれそうになった時、バッツはふらっと揺れ、そのまま、
ドサッ
バッツは倒れてしまいました。石板は元の場所におさまりました。


 どれくらい時間がたったでしょうか。バッツはベッドに寝ていました。「あ、気がついたかい?ここはジャコールの町の宿屋だよ。」
(どうしたんだろう、オレ・・・確か原料を取りにいってて・・・いきなり奥の神殿が光って・・・その後・・・そうだ、急に意識が遠のいて・・・その後は意識がうつろだったからあまり覚えてないし・・・あ、でも何か見えた・・・あれは・・・第二の石板!それを取ろうとしたとき・・・その後は思い出せねえや。)
「もう心配したよ。チョコボちゃんが君を連れてきてさ、何事かと思ったよ。それで君3日間も寝てたんだよ。」
「ええ!3日間も!」
カレンダーを見ると確かに日付は3日後になっているのです。
「医者によると極度の過労だそうだ。過去にものすごく辛い経験をしてここまできたって経緯にいたったそうだよ。それは本当かい?」
宿屋のおばさんに言われ、バッツはやっと自分が1人でいた理由を思いだしました。そしてその事を少し後悔しました。
(そうだ。オレ仲間とケンカしたんだ。今どうしてるだろう。ファリス、クルル、レナ・・・)
「ところで3日前から君のこと心配してた人達がいるんだよ。ずっとみんなで看病してたんだよ。」
「ええ!?」
「その人達は今ご飯を食べてるからこのことみんなで知らせてくるね。」
宿屋のおばさんは部屋を出ました。しばらくして、なんとクルルがやってきたのです。
「みんなに知らせたら会いたいって言ってきたんでね。この子を代表で連れてきたんだ。じゃあ2人でゆっくり話をするといいよ。」
宿屋のおばさんは外に出ていきました。
 部屋でしばらく沈黙が流れました。その後クルルがそれをやぶりました。
「あ、あの・・・ごめんなさい。」
「え?」
「私、レナさんの本音をおさえてあげることができなかった・・・。私はあのままでも楽しいと思いました。だってみんなが一生懸命戦ってくれるんですから。」
「・・・・・・・。」
「バッツさんはまだ私達のこと嫌いですか?」
「それは・・・・。」
また沈黙が流れました。数十分後、またクルルが沈黙をやぶりました。
「バッツさん・・・・・・・・・・・・・戻ってきてくれませんか?」
クルルはそう言った後、顔を真っ赤に染め上げました。バッツはしばらく考えていましたが、決心したように、
「わかった。お前達さえよければ。」
と言いました。クルルは喜び、
「本当ですか!ありがとうございます。」
と言いました。そして、
「あの・・・それじゃあレナさんとファリスさんに知らせてきますね。」
クルルは外に出ていきました。こうして4人はまた心が1つになりました。
 それから何日かしてバッツは3人に、
「実はオレ、2つ目の石板を見つけたんだ。」
「ええ!本当モグか!ついにこの世の終わりモグか・・・・。」
次の瞬間モグは中に飛ばされ、バッツがモグにキックをきめ、クルルの手元にゴールインしました。
「場所はビックブリッジにある孤島の神殿なんだぜ!」
そう言ったとたん、レナはびっくりして、
「ええ!それじゃクルルちゃんが見つけた神殿がそうなの!?」
「もちろん。ちゃんとその様子みてたからな。」
「あ、あの・・・じゃあ私達が言う前から知ってたのですか?私達の作戦・・・。」
「ああ。そうなんだ。なんか様子がへんだったからのぞいてみたんだ。そしたら3人ともたのしそうにしてるうえにかなりはかどってるようだったからなんか3人のほうがなにもかもはかどるんじゃないかと思ってさ・・・。」
「そういうことだったの。何か様子が変だと思ったのよ。でもこれで一見落着ね。ところでバッツ、今日の作戦は?」
「ああ、今日は作戦はなしだぞ。」
「え?」
「ネタがつきたからさ、しばらく作戦はなしでいこうと思うんだ。それにこっちのほうがなににも流されずに戦闘ができるし。」
「わかったわ。でもなるべく早く作戦考えてね。私達作戦にいちゃもんつけるのやめたから。」
「よーし、とにかくゴー!」
バッツがそう言った時、
「もう行ってるモグよ。」
モグの言ったとおり、クルルとファリスはもう神殿の前にいました。更に、
「・・・確かにここには何かある気配があるな。」
ファリスはさっさと神殿を調べていました。バッツとレナはあわてて、
「でー!いつのまに。」
と、神殿までかけていきました。
END

◎キャラ紹介◎
ボコ
バッツと一緒に旅をしていたチョコボ。バッツとはとても仲がいい。結構がんばりや。

<あとがき>
やっと終わりました。とても時間がかかりました。でも自分としてはなかなかいい感じにできたと思います。実は当初は2話完結の予定だったのですが、そうすると後編が前編の倍ぐらい長くなってしまったので急遽3話構成に変えました。今後ともたくさん作品を描きたいと思っていますのでよろしくお願いします。







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