みんなに会えてよかった
私は生きている。今も昨日もずっと元気で生きている。おじいちゃん―ガラフのおかげで――――。
私―クルルはおじいちゃん達を助けようとして、逆に自分がピンチになってしまった。それを助けようとしておじいちゃんは―――。
おじいちゃんのおかげで私は今も生きている。
でも―――私は思う。本当にこれでよかったのだろうか。おじいちゃんは私の犠牲になったようなものだ。私がおじいちゃんの所に来なければ、いや、メイドさんのカメリお姉ちゃんかその弟のゼニスお兄ちゃんを一緒に連れて行けば、おじいちゃんは死なずにすんだはずだったのに。
―本当にこれでよかったの?―
私はテントの中で1人頭を抱え込んでいた。となりにはバッツさんとレナさんとファリスさんが寝ている。
もしあの時おじいちゃんが死ななければバッツさん達に悲しい思いはさせずにすんだのに。
―やっぱり私はバカだった。―
でも―悪いことばかりでもない。確かにおじいちゃんをあんな目にあわせたのは私のせいだ。しかし、そのおかげで私は自由に外に出ることができた。
確かおじいちゃんはこう言っていたはずだ。
「おじいちゃん・・・・。私、おじいちゃんに再会できて嬉しかったよ。」
「クルルちゃん。クルルちゃんが自分の本音言うなんてめずらしいの。」
「え・・・。うそ。」
「うそじゃない。だって今さっき言ったし。」
「・・・・・・ポー。(赤くなる)。」
「ふふ。赤くなっちゃて。最近クルルちゃんは自分のやりたいことやるよいになったし。この前は別世界に来てまで僕のこと助けに来てくれたしね。」
「ガラフ王様、クルル王女様。お茶をお持ちしました。」
そこにメイドのカメリお姉ちゃんが入ってきた。「カメリちゃんありがとう。そこに置いといて。」
「お2人で何をお話しておられたのですか?もしよろしければ私もまぜてくださいな。」
「うーん。ま、いいよ。クルルちゃんもいいよね。」
「ええ。私も構いません。」
「では。」
カメリお姉ちゃんはとっても優しい。どんな事も親身になって聞いてくれるし、悲しい時もなぐさめてくれる。本当にいい人です。
「実はクルルちゃんのことを話してたんだ。」
「ああ。そう言えばガラフ王様のお連れの方に出会ってからクルル王女様は相手の気遣いだけでなく自分のことも気遣うようになりましたね。」
「やだ。カメリお姉ちゃんまでそんなこと言って。恥ずかしい。」
「クルル王女様・・・・。クルル王女様、もっと自信をお持ちになって。」
「クルルちゃんが自信を持ってくれればきっとお城のみんなは元気になるよ。」
「ええ。なんていったってクルル王女様は兵士達でのチャイドルですし。」
「だから僕はクルルちゃんに自分に自信を持ってほしいんだ。」
おじいちゃんは口がすべったように言葉をもらした。
(おじいちゃん・・・・・)
私は唯一の肉親に最大の親孝行をしてあげられないのが悲しかった。
私がそうしずんでいたその時、
「ガラフ王!クルル王女!これ見てくださ―い!」
カメリお姉ちゃんの弟のゼニスお兄ちゃんが元気に入ってきた。
「あれ。カメリお姉ちゃんもいたんだ。まあいいや。ねえねえ。これ見てください!俺詩書いてみたんです!」
「まあ。ゼニスが詩を書くなんてね。」
「カメリお姉ちゃんたら。俺だって詩くらい書くんだよ。」
「うふふ。わかったわかった。これはガラフ王様とクルル王女様にお渡ししておくわ。」
「待って。ひょっとしたらお2人にはこの詩はお気に召さないかもしれないらまずはカメリお姉ちゃんが読んでよ。ね―お願い。」
ゼニスお兄ちゃんはいつもカメリお姉ちゃんに甘えてばっかり。今も甘えてる所。
「ふふ。しょうがないわね。じゃあ読んであげる。」
でもそれに対していつも優しくしてくれてあげてるカメリお姉ちゃんもすごい。
「クルルちゃん。きっといずれ自分に自信を持たなければならない時がくるよ。」
「え?あ、は、はい。」
『クルルちゃんにもっと自分に自信を持ってほしい。』
確かにおじいちゃんはそうもらしていた。その願いは今かなった。だからおじいちゃんはうれしい気持ちのはずだ。
私はいつの間にか外にいた。おじいちゃんが今うれしい気持ちかどうかを空にでもきいてみようとでも思ったのだろうか。
「お空さん、お空さん。おじいちゃんは今うれしい気持ちなのでしょうか?お空さんもおじいちゃんがうれしい気持ちでいるようにお願いしてください。」
そんな事を言いながら私はまた思った。
―ひょっとしたら私が自信をもてるようになったのはあの事件だけじゃなくてバッツさん達が励ましてくれたからじゃないかしら。―
私、バッツさん達に会えてよかった。私はそう思った。そして、こうも思った。
―おじいちゃんがあんな目にあってしまったのは私のせいかもしれない。でも、今の方がみんな幸せだと思う。―
(さて、と。)私はテントに戻ることにした。私が立ち上がったその時、
「・・・まだ起きていたのか?」
なんと後ろにファリスさんがいた。
「ファリスさん!どうしてここに!?」
「・・・何のことはない。目が覚めたらお前の姿がなかったら外に出てみただけだ。」
「そうですか。私はもう戻ります。」
「で、こんな夜中に何を考えていたんだ?」
「え。何でそんな事がわかったんですか?」
「簡単なことだ。寝付きのいいお前が夜中に起きて外にいるんだ。よっぽど何か考え事してなければそうはいかないだろう。」
「さすがファリスさんですね。実は私・・・・。」
私は今までの事をみんなファリスさんに話した。すると、
「なるほど。自分で考えて自分1人で結論を出したのか。お前は相変わらずいい頭脳をしてるな。」
「そんな。こんな事誰にだってできますよ。」
「まあそれはともかくとして少なくともバッツにはこんな芸当はできんな。」
「でもバッツさんやみなさをは幸せそうですから私ほど思い悩む事ないと思いますけど。」
「いや。俺達も悲劇を見た。それもつい最近パーティに入ったお前より多くな。」
「ええ!そうなんですか?す、すみません。私知らなくて。」
「そんな事どうだっていい。お前は子供同然だ。そんな難しい話をするのは10年早い。」
「そうですね。私もまだまだ未熟ですし。」
「もうすぐ夜明けだ。そろそろ寝ないと起きられなくなるんじゃないのか?」
「・・・はい!」
そして・・・・・・・
「姉さんたら!もう11時よ!起きなさいたら!」
「クルル、お前いつから朝寝坊やろうになったんだ?」
夜更かしをした私とファリスさんはテントに戻った後も全然寝付けずやっと寝付いたのは朝8時。起きられないのも当然。バッツさんも朝9時に起きたのでちょっと情けないです。
結局私とファリスさんはバッツさんとレナさんにたたき起こされました。
「全く。ホウキでたたかなきゃ起きないなんていったいあの2人に何があったんだ?」
「私が思うに2人は夜更かししてたのよ。」
「ま、そうなのかな。一応聞いてみよう。おい、クルルにファリス、お前ら何で寝坊してたんだ?」
「それは・・・夜にファリスさんといいことを話してたからです。」
「いいことってなんだ?」
「それは言えません。」
「・・・お前らは知らなくていい事だ。」
「あらら。2人ともだんまりね。いいじゃないの、教えてくれたって。」
「いいえ。これは私とファリスさんだけの秘密ですから。そうですよね、ファリスさん。」
「・・・・・。(無言でうなずく)」
「あ、ズルイぞ!教えろよ!」
「だめだ。」
「あ、あのさ、みなさん・・・・・私みなさんに会えて・・・よかったです。」
「え?いきなりなんだよ。」
「当たり前じゃない。仲間が増えるのはいい事よ。」
「・・・・・・(よく言ったな。)。」
「そうですね。レナさんの言う通りですね。」
「ところで秘密ってやつオレ達におしえろよ。」
「そうよそうよ。そうでないと私夜眠れない。」
「だめですったら。これは絶対の秘密なんですから。」
「おしえろよー!」
「教えなさいったら!」
「いやです――――!」
バッツさん、レナさん、ファリスさん。私、これからもおじいちゃんのためにがんばります。だから応援してくださいね。
THE END
オリキャラ紹介
カメリ
クルルの回想シーンのみ登場。城の中では1番のアイドルのメイドさんの22歳。クルルはそんな彼女をお姉さんのように見ている。優しく、兵士と共に城を守るしっかり者。
ゼニス
同じくクルルの回想シーンのみ登場。カメリの弟。いつも生意気なことばかり言う20歳。しかし、カメリの前では甘えん坊に変身。いつもカメリに甘やかされる。
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