もう一度


私が立っているのは
かつてあの人が好きだった場所

あの夜、月光に照らされてぼんやりと見えた
恥ずかしそうに話すあの人の顔

黙っていれば、凛々しげに見えた横顔

何も言わずに抱きしめてくれた優しい腕
風のように何者にも囚われなかった自由な心

あの時は永遠にこの幸せが続くとばかり思っていた

砂の山が崩れるように
簡単に崩れ去った
今まで積み上げてきたあの人との思い出

あの人の前だけでは
海賊の親分としての自分ではなくて
一人の女性として振舞えた

どんな私でも愛してくれた優しい貴方

もしも、時を超えて飛んでゆけるなら
もう一度会いたい

私が愛したあの人のところへ
悠久の時を超えて

もう一度だけ







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