「BRIGHTEN UP」
たとえば、
この気持ちに素直になれば
どれだけの愛を受け入れられたか。
たとえば、
その瞳に避ける事が無ければ
どれだけの幸福を得られたのであろうか。
華の様な女性とは程遠い自分の姿
正直という言葉を無くした自分の心
何故、俺はそう育ったのか…。
海面をぼーっとしながら
”ウキ”を見つめるファリス。
どうやら彼女は釣りをしてるらしい。
数匹釣ったら全く魚が寄る気配が無く、
ウキを見つめるのも飽きたのか
左ポケットの中から煙草を取り出した。
「おい、なんだ…。まだ煙草なんか吸ってたのか?」
ふい後ろから声が聞こえ、ファリスは煙草をくわえたまま頭を上にあげた。
視線のそこには同じ歳の青年がいる。
「悪いか?」
「身体によくない。肌にも悪いだろ?」
まぁ、確かに…。
そう思いつつ心の中だけそうファリスは呟いた。
「ビタミンとればいいんだよ。」
そう言った直後、自分がどれだけ子供みたいな言い訳を
してるかに気づき、ごまかすようにまた海面に視線をそらした。
「全く、しょうがないな。」
青年の名前はバッツ。
彼は少し笑いながらファリスの隣に座り込んだ。
煙草の煙が揺れて消える様をみつめ続け
しばらく沈黙が続いた。
その空気を壊すかの様にバッツは鼻歌まじりで
歌を歌い始めた。
この曲は確か、バッツの好きな詩人の歌だ。
心の中でまた呟く。
ファリスはただ、隣で歌を歌うバッツの声を聞いていた。
「この曲ね、全部他の国の言葉だろ?
俺、なんでこの曲好きなのかなーって思って調べたんだ。
歌詞の内容はこうだった。
『ほとんど事が自分の思い描いてたとうりになんてならない
成人を迎えた人達は皆考える
でもこれは絶望じゃない
何も疑わず生きてきた時から何かを学んだはず
夜が明ければ必ず未来が訪れるとは限らない事も
大切なのは行動する事 それさえあれば全てが可能になる
まずはベットから起き上がる事 只其れだけ
言える事は俺達の未来は俺達で作らなくてはならない事』
良い歌詞だろ…?
俺はこの曲が好きなんだ。」
ファリスは煙草の火を消しながら
バッツが何故その曲を自分に語ったか考えた。
「世界を救う事も、結局は俺達が頑張らなくちゃいけない。
それを言いたいんだろ?」
バッツはファリスの言った台詞にチチチ、と指を振り
ウィンクしながら笑った。
「それだけじゃないさ。ファリス自身の事だよ。」
「?」
「俺が言いたい部分の歌詞はここ。『まずはベットから起きあがる事』分かる??」
彼の言う意味がわからずしかめっ面になったファリスは
「分からん。」
と、即答。
苦笑いしながら海面に石を一つ投げたそして彼は言う
「ファリス、君は気づいてるんだろ?俺の気持ち、自分の気持ち。」
「なっ…。」
唐突に指摘された為、硬直せざるおえない。
「だから、その歌詞に意味があるんだよ。」
「…。」
「何故、そう自分の中だけで考えようとする?
俺がいるだろ?それに皆もいるだろ?」
「ウルサイ…。」
赤紫の髪が揺れる 肩が震えた
「おまえなんかに何が分かる?!俺は…!!」
涙を流して振りかえった瞬間、バッツはファリスを抱きしめた
「!」
「あのな、俺はそんなおまえが好きなんだよ。
不器用で、強がりで、そのくせ弱い。
俺にだけは隠すな。俺だけは信じろ。ツライ事があったら俺に当たれよ。」
涙が止まらない…。悔し涙だったこの雫は違ういろにそまっていく
気がついたのだ。矛盾すぎる自分の姿、行動に
「なんだよ…。俺、なんでこんな馬鹿みたいに悩んでたんだろ…。
どうして行動に出なかったんだろ…。ずっとバッツの気持ち、気づいてたのに…。」
バッツは優しく泣き虫の彼女に頭をなでた
「な?『ベットから起きあがる事』が出来ただろ?
あとは全てが可能なんだぜ?」
そう言いながらファリスの唇にそっと口付けを交わした
真っ白なキモチの中、
幸せという言葉の意味を理解した。
そして泣きながら聞いたのだ
愛しい人のその声で
「愛してる」と…。
うっわ。恥ずかしい…(死)
なんっていって言い訳しりゃいいんだろうコレ。
これに出てくる曲は僕が好きな曲なんです。
「SCAFULL KING」←(日本人です)っていうバンドの
曲です。良い歌詞なので気に入ってます。
とりあえず、これがキッカケで二人は恋仲〜みたいなのを
書きたかったのに(切腹)
短いしさ…。(昇天)
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