truth story
街の宿屋のテラスにたたずみ、月を見ながらファリスは悩んでいた。
悩むべき事とは、“恋愛”。
彼女にとってただひとつ謎と言えること…
解らない…コイすること
解らない…アイすること
レンアイ…
コイビト…
スキ…
アイシテル…
そこは未知の世界
それは未知の言葉
解らない…
よく晴れた日、太陽が1人の男を照らしている。
その男とは、バッツ達の敵とするエクスデスの部下、ギルガメッシュ。
ギルは緊張していた。
なぜなら、今からあることをするからだった。
そのあることとは……告白!!
ギルはある人に想いを寄せていた。ある人とはご存じ、ファリスである。
どういう返事が返ってくるかは解らない。
男として生きてきたファリスだ。恋だの愛だのに興味は無いとも思える。
それでも良い。ギルはただ自分の気持ちを伝えたいだけなのだから。
フラれても、嫌われても良い。
初めての恋を何もしないで終わらせたくないのだ。
そんな事を考えているうちにファリスがこっちに駆け寄ってきた。
「何だ?話って」
緊張して身動きひとつしないギルにファリスが問いかける。
ファリスは、何だって敵同士がこそこそ会わなければ行かないのか、疑問でいっぱいだった。
「フ、ファ、ファリス………」
どもりながらもなんとか相手の名前を言うことはできた。
だが、続きが出てこない。
何度も練習した言葉、たった2文字、“好き”と言う言葉。
変に途切れたギルの言葉。ファリスの疑問は脹らむばかりである。
『口が重い。本当に開かない』
『何か言わないと…』
ギルは焦って何とかこの重い空気を振り払おうとした…が、所詮恋愛経験のないシャイな男。
どうすることもできないまま。
「こんなとこ、誰かに見られたらエクスデスにクビにされんぞ」
そんなギルの気持ちを察してか、重い雰囲気を破って喋り出たのはファリスだった。
その一言で空気は和らぎ、ギルも何とか喋ることが出来た。
「ク、クビ!?それは困る」
多少どもってはいるが、何とか会話にはなっている。
ファリスが笑っている。
それが今のギルの支え。
『オレに、オレだけにその笑顔をむけてくれ…』
今なら言える、そう信じてギルは口を開いた。
「あ、あのさ、今日呼び出したのは……」
「ん、あ、何?」
横を向いていたファリスが再びギルにその整った顔を向ける。
それがギルにとってはプレッシャーとなったかもしれない。
だが、ギルの口からは不思議と次々言葉が出てくる。
「オレ、…おまえの、ファリスのこと……好きなんだ…」
意外と簡単に言えたその言葉。
あっさり言い過ぎて今度はファリスが固まってしまった。
「ふぇ?」
声にならない言葉が出る。
いきなり呼び出されていきなり気持ちを明かされて、驚かない人間はいないだろう。
「あ、いや、その…付き合うとか、そんなんじゃねーんだ。けど、…気持ちだけ…」
「…わかった」
ギルが言い終わらないうちにファリスが言葉を返す。
「え?」
ギルはファリスの放った言葉の意味がよく解らないようだ。
「オレ、その…恋だの愛だのって良く解らないけど…嬉しい。この意味、解る…かな?」
思ってもみなかった彼女の返事。
その一文を理解するのにギルは数分の時間を必要とした。
「マジで!!?ホントに!!?…いや、マジで!!??」
理解できて言った言葉は、その三文。まあ、混乱するのも無理はない。
「マジで。ホントに。いや、マジでってば」
ギルの言葉を使ったファリスの返事。
2人の顔からは自然と笑みがこぼれていた。
彼女に想いを寄せているのは、もう1人いる。そう、バッツだ。
ファリスにとって良き仲間、良き相談相手として色んな事を話してきた。
そんな中、ファリスから伝えられたギルとのこと。
恥ずかしそうに話をするファリスの顔が辛かった。
バッツは夜中考えていた。
自分の想いを寄せている、ファリスのことを。
できるものなら奪ってやりたい…
できるものなら連れ去ってやりたい…
そしたら君は…どうなる?
燃え上がる炎のような友情を消してしまうだけ…
脆い花のような君の心を枯れさしてしまうだけ…
俺の心はしまっておけばいい
それで君が苦しまないのなら
俺の気持ちは捨ててしまえばいい
それで君の近くにいれるなら
次の日、ギルとファリスはこっそり2人で会っていた。
提案はもちろんギル。
ただ会うだけ。ただ話をするだけ。それだけで天にも昇る気持ちのギル。
ファリスは…そうではなかった。
話しかけるのは決まってギル。
だがファリスの返事ははっきりしない。
何か、考え込んでいるような…。
ギルはそんな調子のファリスを元気にさせようと、ひとつ提案した。
「そうだ!ソフトクリーム買ってきてやる!何がいい?」
あまりにも突飛な発言にファリスは照れを隠せない。
「い、いいよ。子供じゃないんだから…」
遠慮しているファリスに、かまわず自分のペースに引き込むギル。
「遠慮すんなって♪さあ、何がいい?チョコか?バニラか?ミックスって手もあるぞ!」
ファリスはお手上げ状態である。
「………チョコ」
良く耳を澄まさないと聞こえないほどの微かな声。
言った後でファリスは真っ赤になっている。
「わかった!買ってくるからそこで待ってろよ♪」
ギルは喜び勇んでソフト屋の方へと走って行く。
『全く、アイツには参ったよ……』
ファリスはひとり、噴水のふちに座ってボーっとしていた。
『…ホントに……』
本当にこれがコイ?
本当にこれがアイ?
本当に…本当に…?
みんなといる方が楽しいじゃない
みんなといる方が気が楽じゃない
バッツといるほうが…
『オ、オレ何思ってんだ…!?』
ふと顔を上げると遠くにバッツが見える。隣には…レナがいる。
なにやら店の中で何かを見ているらしい。2人で…楽しそうに…。
『…バッツ、レナと……そっか……。』
気が付くと綺麗な緑の瞳からは涙が流れていた。
何故かとてつもなく悲しい。
気が付くとファリスは宿の自分の部屋にいた。どうやらここまで走ってたようだ。ギルを放って。
自分でも何をしているのか解らなかった。何がどうなのか解らなかった。
ただひとつ、解ることは自分の本当の気持ち。
ベットに泣き崩れるファリス。
『何で今更、何で…!!』
考えられることはひとつだけになっていた。
泣いて泣いて、やっと少し落ち着いた。
瞳はとても赤く、頬には幾筋もの涙の跡が残っていた。
部屋の中は電気はついていないが、月の光が射し込んで結構明るかった。
コイするって難しい
アイするって難しい
そこが未知の世界ではなくなった時
未知の言葉を発するようになった時
すべては遅すぎた
私の愛するあなたはもう…
コンコン
突然ノックの音がファリスの広い部屋に響く。
それに応じて涙を拭い、いつもの声を出す。
「誰だ?」
間髪開けずに返事が返ってくる。
「あ、俺だけど…入るぞ」
今一番会いたくない人の声が聞こえた。
涙が溢れ出るのを必死でこらえた。
ガチャ
バッツが入ってきた。
なるべく目を合わせないように、テラスへ行き背中ごしのまま話しかける。
「どうした?」
部屋の明かりがついていないことに多少戸惑ってはいるが、ファリスのいるテラスへ歩み寄ってくるバッツ。
「…いやぁ…」
喋りながらバッツがファリスの横まで来る。
バッツの視線を充分に感じているが、ファリスはそのままの状態でいる。
月光が彼女の輪郭をはっきり映し、神秘的でとても美しかった。
その美しさに魅せられ、バッツは一瞬自分の目的を忘れ魅入ったが、思い出し喋り出す。
「あ…あのさ、これ」
何かを差し出すバッツ。ファリスはやっと彼の方に向き直り、その何かを確かめる。
「え?…バッツ、これ…」
包装紙や箱から出てきた物は…ネックレス。
真中についてる宝石はファリスの髪の色と同じ色だった。
「ハッピーバースディ、ファリス」
ファリスがネックレスを不思議そうに見ている時だった。
優しい笑顔と共に放たれたバッツの言葉。
そう、今日はファリスの誕生日だったのだ。
もちろん、ファリスはそんな事忘れていたが。
ファリスが顔を上げ、初めてバッツと目が合った。
笑顔のバッツに、…ファリスは泣いていた。
涙が月光で光っていて、こんな時まで彼女は美しかった。
「ファリス…?」
その涙に疑問を抱くバッツ。
ファリスは自分の涙に気付き、慌ててうつむき一言。
「…ごめん……」
「え?いや、謝ることはない…」
「違う、違うんだ!!」
バッツの言葉を最後まで聞かず、ファリスの声が響いた。
「…違う…んだ…オレ、オレ……」
彼女の瞳からはこらえきれない涙が溢れ、ファリスは上手く喋れずその場にしゃがんでしまう。
バッツには何が何だか解らない。
ゆっくりとバッツがしゃがみ、ファリスと同じ目線になる。
「まず俺の話、聞いてくれよ」
バッツが何も言えずに泣きじゃくっているファリスに優しく言う。
ファリスはじっとバッツを見つめる。
「俺な、ファリス、おまえが好きなんだ…あ、ギルとの仲を裂こうって訳でもないし、忘れてくれても良い。
ただ、自分に嘘はつきたくないから…」
ファリスの瞳が大きく見開かれる。涙は、もう止まっている。
思ってもいなかった言葉をバッツはくれた。
バッツは横を向き、真っ赤な顔で月を見ている。
「…バッツ……」
ファリスの瞳からは再び涙が流れ出ているが、そんな事気にせずバッツに抱きつく。
「…ファ、ファリス…?」
次はバッツの瞳が驚異に見開かれた。
「…バッツ…好きだ…オレ、気付いたんだ。…本当に好きなのは、ギルじゃない、…バッツだって事…」
言い終わる頃にはバッツの服を涙で濡らしていた。
バッツがファリスをきつく抱きしめる。
「…もう何も言わなくていいから…俺の側にいてくれ…」
そうして何分か経ち、お互いが落ち着き、ファリスを見つめながらクスッと笑い、バッツが言った。
「涙で濡れた顔も可愛いよ♪」
ファリスの頬はたちまち赤くなり、
「ばっか!」
と言って、ずっと座って疲れた足を立たせる。
「バッツ…昼、レナと一緒にいてたのは…」
バッツも立ち上がり、ファリスの頭に優しく手を置く。
「プレゼントを買いに行ってたんだ。それにクルルも一緒だったぜ?…やきもち焼いた?」
ファリスの反発的な返事を待っているバッツに、ファリスは珍しく素直に言葉を返す。
「ああ…。バッツがレナのこと好きだと思って…悲しかった…」
ファリスは目に涙をため、うつむいてしまう。
バッツはそんなファリス自分の方にを引き寄せ、見つめ合い、キスをする。
とても愛おしそうに髪を撫でながら。
2人は月光の下で月の魔力に魅せられていた。
扉の向こうではギル・レナ・クルルが耳をドアに付けて2人の会話を聞いていた。
「ほんっとに、2人の世界入りやがって」
ギルがぽつりと言った言葉。恨みは全くこもっていない。
「ギル…良かったの?」
レナがそんなギルに問いかける。
ギルがファリスに想いを寄せていたことはみんな知っていた。
ギルはふふ、と笑う。
「オレ、知ってたぜ。ファリスの気持ち。あえてあの2人のキューピッドをしてやったんだ。
それに、人の心配してられないのはレナの方だろ?」
そういってぽんぽんとレナの頭に手を置いた。
そう、レナがバッツに想いを寄せていたことをギルは知っていたのだ。
付け加えて持っていた花束をレナに預け、
「これ、ファリスに渡しといてくれ。あ、あとオレは2人のキューピッドをしてやったんだって言っといて」
と言って去ってしまった。
残されたレナとクルルはお互いの顔を見、
「本当はファリスのこと好きだって、ばれてるのにね」
と笑っていた。
去っていくギルの背中を暖かく見ながら、レナはこんな事も思っていた。
『ギルって結構優しいんだ…』
「もう2人の世界、満喫したかな?」
クルルがレナに問いかける。
「そうね、これ渡さなきゃいけないもの…。入っちゃおっか♪」
レナは手に持っていたファリスへのプレゼント、ギルから預かった花束、
クルルの持っているファリスへのプレゼントを見て、迷いながらもドアを開けた。
ファリスは驚いて思わずバッツを突き飛ばしてしまった。
バッツはしりもちをつき、レナとクルルに笑われている。
実に楽しい光景である。
赤くなっているファリスに、床に座って不機嫌そうなバッツ。それを見て笑う2人。
その時4人は不思議にも同じ事を思っていた。
『こんな日がいつまでも続きますように…』
*END*
*おまけ*
その夜、ギルは朝まで酒場で飲み明け暮れていた。
噂ではレナも加わっていたとかいないとか。
そんなギルの喋った言葉は
「…うぅ…ファリスゥ〜……」
だけでした。
*後書き(そんないいもんじゃない)*
生まれて初めて書いた小説です。
こんな駄目小説生まれて初めて見ました。
誰か小説の書き方教えてやってくださ〜い……。
なんか最後の方テキトーになっちゃってます。
…すまんこってすたい。(死)
え?初めの方を読んでギルファリだと思った?
お願いだからガラスビンとか投げないで下さい…!!!
私は100%バツファリ果汁ですから。(死)
くさい!くどい!ながい!が私のモットーです。
え?もう書くなって?あと3つぐらい話考えてたりして…。
ウソです!調子のりすぎました!終わります!
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