「プライド」




久しぶりに街へとやってきた。
今日は休日なのか、かなりの賑わいを見せている。
バッツたち4人はそんな様子の中、宿へと向かった。

「思ったより早く着いたわね♪」
時間はお昼に満たない頃、荷物を部屋におきながらレナが言う。
「んー!久しぶりのベッドだぁ!」
クルルはそのままベッドにダイビングした。
ファリスは・・・
「じゃ、オレちょっと出かけてくるから」
「え?もう?」
「うん、街を見てくるよ」
「あ!ファリスちょっと待って!」
止めたバッツの声がとどく間もなく足早に出ていった。
(あーあ。やっぱりまずかったなぁ・・・)
「何か用事でもあったの?」
「え?あ、いや。たいした事じゃないから。えーと、オレもちょっと出かけてくるよっ」
そういうとバッツも部屋を出ていった。
と、途中で階段から落ちる音が聞こえた。かなり動揺していたらしい。
「あの二人、なんだか最近変じゃない?」
「クルルもそう思う?ケンカでもしたのかしら」

バッツは行く当てもなく、とりあえず街の人混みを歩き出した。
(やっぱり言うんじゃなかったなぁ)
思い返せば数日前・・・。

夕食後、海を見に行くと言ってファリスは一人で出ていった。
そのまま夜は更けてきて不安になったレナから迎えに言って欲しいと頼まれたのだ。
そしてすんなりとファリスを見つけたまでは良かったのだが。
その後の二人きりの会話の流れでつい”好きだ”と告白してしまったのだ。
そのときは『なに言ってるんだよ』という感じでお互いに笑ってごまかしてしまったのだけど・・・。

次の日からファリスが避けているのがわかった。
前々から伝えたかった気持ちには間違いなかった。
それでも、今ある信頼とか気さくに話し合える関係が壊れてしまうのではないかとずっと伝えられずにいたのだ。

「だからってこんなに予想通りにならなくてもいいじゃないか」
バッツはため息まじりに呟く。
(あれはオレが悪いんじゃないんだぁ!夜だったし波の音や月明かりがムード満点でファリスは無防備な顔してるし超綺麗だったし大体元はと言えばレナが二人きりになる環境を作っちゃうしそれからそれから)
っとグイグイっと裾を引っ張られる。
(ん?)
現実に引き戻され、見下ろすと、そこには一人の男の子がいた。
左手には小さなアメをもっている。
「何か・・・用?」
するとその子は右手で一通の手紙を差し出した。
「これ、おにーちゃんに渡してくれって頼まれたんだ」
「え?オレ??人違いじゃない??」
「うんん、おにーちゃんにって」
「誰から?」
「ヒミツ。口止めさせてるんだ。じゃあ、確かに渡したから」
そういうと少年は人ごみの中に消えていった。
「おい!ちょっと!」
(なんだったんだ?一体・・・)
バッツはその手に渡された手紙をまじまじと見つめた。

人ごみを外れたところに腰をおろすと手紙を開く。
中にはようやく読める(要するに汚い)字でこう書かれていた。

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バッツ=クラウザーへ
貴様の仲間を預かっている。
返して欲しければ町の東にある森へ一人で来い。
日が沈むまでに来なければ命の保証はしない。
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「なんだそりゃ?」
思わず声をあげる。
(仲間っていったらファリスとレナにクルルのことだろ?)
「さっきの子のイタズラ・・・にしてはオレの名前が書いてあるし・・・」
一抹の不安を抱えたバッツは手紙をポケットに押し込むと宿に向けて走り出した。

バタバタと階段をのぼって来る音がする。
レナが”久しぶりにのんびり読書でも”とくつろいでいた時だった。
足音が部屋の前で止まったかと思うとバタンと扉が開く。
「あら、バッツ早いのね。どうしたの?そんなに慌てて」
扉を開けた主はそんなセリフを受け流すように口を開いた。
「ファリスとクルルは!?」
「え?二人とも出て行ったままだと思うけど・・・何かあったの?」
ただならぬ雰囲気を感じたのかレナは真剣そうな眼差しで聞いた。
そんなレナを見てバッツは余計な心配をかけないようにと思ったのか
「・・・いや、なんでも・・・ないよ」
とだけ笑顔をつくって答えた。
「ふうん」
レナはバッツの不信そうな態度に気が付いたが、それ以上は何も言わなかった。

日暮れにはまだ遠いものの光は少し赤みを帯びてきている。
そんな空を宿のロビーから見つめていたバッツは一つ、ため息をつく。
この手紙の内容を信じるべき確証はない、でももし本当なら・・・。
(よし!行くか!)
彼が立ち上がろうとした瞬間
「あれ?バッツこんなところで何してるの?」
聞き覚えのある声が話し掛けてきた。
小さな買い物袋を片手に下げたクルルだ。
(え?ってことは・・・??)
「クルル!ファリスに合わなかったか!?」
いきなり大きな声で聞かれて驚きつつもクルルは見てないとだけ告げる。
するとバッツは勢いよく飛び出していった。そして東の方角へと・・・。
クルルはただ状況がわからず呆然と立ち尽くしていた。

(まさか・・・な。ファリスに限って・・・)
街のはずれには大通りの様子が嘘のように人の姿はほとんどなかった。
そこからさらに手紙の場所と思われる木の生えている土地へと踏み込んだ。

(大体、森っていうからには広いぞ。どこに行ったらいいんだ?)
夕日が沈むまでに手紙の主と接触しなければならないという焦りがバッツを不安にさせる。
っと、いきなり何者かがこちらに向かって斬りかかってきた!
(しまった!!)
普段のバッツなら周りに最大限の注意をしながら進むはずだ。
それを動揺していてかすっかり忘れてしまっていた。
不意をつかれてよけるのに精一杯だった、バランスを崩す。
すぐに体勢を立て直しながら相手を確認する。
古ぼけたローブを身にまとっている。顔は・・・フードを深めに被っているのと仮面のような物をつけているためわからなかった。
次の瞬間、また相手が襲いかかってきた。
バッツは引き抜いた剣で攻撃を流す。
(こいつ・・・強い!!!)
それからしばらく激しい攻防が続いた。
お互いに疲れが見えはじめていた。だが隙がない。
(負ける訳にはいかないんだ!!ファリスが!!)
接近戦で小さく動かしていた剣を、バッツは両手で大きく横へ振った。
外せば敵に隙を見せることになる。大きな賭だった。
「ファリスを返せぇ!!!!!」
相手はその動きに意表をつかれたのか攻撃をよけるために後ろへ飛び、バランスを崩し地面に座り込む形になってしまった。
バッツはその隙を逃さず喉元に剣を突きつける。
「ファリスはどこだ!」
普段のバッツよりも数段低い声、そして鋭い目で相手を睨む。

「・・・・・・まいった」
(え?)
相手が初めてもらす声にバッツは思わず固まる。
間違えるはずもない。自分の大切な人の声なのだから。
「あーあ、ローブは失敗だったな。動きにくいったらありゃしない」
バッツの目の前で相手はローブのフードと仮面を取り払った。
綺麗な長い紫色の髪がさらりとなびき、緑色の瞳が現れる。
「!?お前・・・何やってるんだ!?」
張り詰めていた気が急に緩む。
「この状況にふさわしくない質問をありがとう(笑)バッツ君。で、何やってると思う?」
にっこりと微笑むファリスに逆に聞き返されバッツは目を泳がせつつ少し考える。
「あ!まさか何者かに操られてオレを殺そうとしたとか!?・・・って何笑ってんだよ!」
「ははは、わりぃ、おまえが考えすぎだからさ。要するに、これはオレ自作自演の狂言誘拐だったってコト」
「はい?!」

ファリスはバッツに向けて、起こしてくれと言わんばかりに手を差し伸べる。
バッツはその手を引っ張りファリスをそばに立たせた。

「オレを騙して遊んでたってわけか?」
「違うって。うーんしょうがないなぁ、ヒントをやるよ。”オレはお前と1対1で勝負がしたかった”」
「そんなの!オレに直接言えばいいだろ!剣の相手してくれとか!!」
「それじゃ駄目なんだよ。お前、それだと手加減しちゃうだろ?本気じゃなくちゃ意味がないんだ」
「危うく殺しちゃったかも知れないんだぞ!もしそうなったらオレは一生・・・」
ファリスは少しだけ瞳の潤んだバッツの唇に人差し指をあてて言葉をさえぎった。
緑色の瞳がバッツの青い瞳を見つめる。
(う・・・)
そうなるともうバッツは怒る気が失せてしまった。
恐らくファリスもそれを狙ったのだろう。
「そんなに・・・ヤワじゃねぇよ」
そういうとファリスは身をひるがえし、少し離れたところでバッツの方を向き直した。

「・・・どっどうして、そんな必要があったんだ?」
その言葉を受けてファリスはバッツから視線をそらし、しばらく黙り込む。
「・・・オレの・・・プライドの問題・・・かな?」
少しだけ赤くなったファリスの頬が夕日によって隠される。
「?何のプライドだよ?」
「お前は一生わからないままでいーの」
「ふ・ざ・け・る・な!納得いくまで許さねぇぞ!」
「大体、長い間一緒に戦ってきたんだから構えとか動きでオレだって気付けよな」
「うっ!それを言われるとっっ。確かに先の読みやすい動きだなぁ〜とは思ってたんだけどさ・・・ってごまかすなぁ!」
ファリスはそんなバッツを笑う。
「ホントに分からないな。ファリスの考えてる事は」
「ん?」
「プライドとか言ってるくせに、負けず嫌いなお前がオレに負けて嬉しそうな顔してるからさ」
「え?オレ嬉しそう?」
「うん、もうずーっと」
「そっか」
ファリスはやはり嬉しそうな顔をしたまま空を見上げた。
そんな姿を見たバッツは一緒に空を見上げた。
(まぁいいか。無事だったんだし。それに・・・)

「さてと、帰ろうバッツ、遅いとレナたちが心配する」
「って誰のせいだよ!」
二人は星空を背に夕焼けに向かって歩き始める。
「ところでお前、字の練習しろよ。オレじゃなきゃ読めねぇぞ、コレ。内容もベタだし」
バッツはヒラリと例の手紙をファリスに見せる。
「え?マジ?かなり丁寧に書いたつもりだったんだけど・・・。あ、そういえばバッツって読み書きできたんだ?」
「あー、はいはい。もう言ってろよ。口喧嘩じゃかなわないからなぁ。」
そういいながらバッツも嬉しそうな顔をしていた。
「あの・・・さ。バッツ・・・」
「何?」
「えーと・・・オレも・・・。うーん、悪い、何でもないっっ///」
「なんだよ!気になるじゃないか!」
「ははは・・・後で・・・そのうち・・・な?」
「『な?』じゃねぇよ。気になって眠れないじゃないか!それでなくても・・・ってコラ!おいてくな〜!」


END


うひー!もう言い訳しか思いつかないです!すみません!
文章下手なのでごちゃごちゃで何言ってるのか分からないし!
どういう話を書きたかったかって言うと「オレより強い奴じゃなきゃ惚れたなんて自分自身で認めたくない」っていうことを書きたかった・・・ハズ(--;
その辺上手く書けなくてウルトラ大反省(x。x)゚゚゚(だけなら猿でも出来ちゃいますね。しくしく)







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