障害物レースinタイクーン城


草原を走る風。
清々しく晴れた空。
そう、まさに今日を飾るに相応しい場景っ!
俺はボコから飛び降りる。
それに合わせたかのように、地面は崩れ・・・・
崩れ・・・・
えーっと・・・つまり・・・何だ・・・
お・・・落とし穴ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

「嘘だあああああああああああああああああああああああああっ!」

絶叫が虚しく響き、俺は真っ逆様に落ちていくのだった・・・・
 
 
 
 
 

「・・・・ここは!?」
落ちてから、どれほど時間がたったのだろう・・・
真っ暗な中、俺は目を覚ました。
「一体誰がこんな事を・・・・」
・・・・レナだな。
どうやら、レナは俺とファリスの仲を良く思っていないらしい。
こんな嫌がらせは日常茶飯事である。

・・・何はともあれ、どうやってここから脱出するか・・・だな・・
高さ推定10メートル。(どうやって掘ったんだ!?)
手をいっぱい広げればすぐに壁に付くくらいの広さ・・・・いや狭さ。
上れる!これならなんとか上れる!!
・・・・しかし。ここに重大な事実がある
俺は高いところが苦手なのである!
笑いたければ笑え。
「・・・・ボコ・・・そうだ!ボコ!!」

「クエー!」
 

「ボコーーーー!助けてくれええええええええ!」
どうやって・・・
言ってから、自分につっこんでしまう俺であった。
ええい!方法なんてどうでもいい!とにかく穴から出してくれええええええ!
 
 

数分後。
 
 

「よう!ボコじゃないか!」
聞き慣れた声。
っていうか、この声って・・・・
確認するヒマもなく。
「・・・・・ん?」

ずべべべべべべっ!

その人物は落ちてきた。・・・俺の上に・・・
「ぐはぁっ!」
「あ、バッツ!久しぶりだな!」
事態を理解していないのか、したうえで開き直っているのか、
のほほんとした声で、彼女・・・ファリスは言った。
「久しぶり・・・」
「で?これは何なんだ?」
「落とし穴」
「だろうな」
ファリスは憂鬱なため息をつく。
おそらく、誰が作ったのかがわかったのだろう。
だよなぁ・・・一瞬でわかるよなーー・・・
『・・・で、どうやって出るんだ?』
二人の声がはもる。
そして深いため息。結局俺もファリスもここから脱出する術はしれないわけだな・・
しかし、その後のファリスの言葉は予想外だった。
「・・・しょうがない・・・。レナーーーーーーーーーーーーッ!」

ど・・・・

軽い地響き。
ちょ・・・ちょいまち!もしかしてこの音って・・

ドドドドドドドドドドッッッッッッッ!!

やっぱしレナかい!
ファリスが呼んでから数秒たらず。
その地獄耳もおかしいが、ちょっと速すぎやしないか・・・?

「んまああああああああああああああああ!!おね〜さまどうなさったのですかああああああああ!?
 こんな落とし穴だあああああああああああああれが掘ったのかしらあああああああああっ!」
やたら母音を強調させつつ、レナは目にも止まらぬスピードで走ってきた。
そして投げ込まれるロープ
よっし!たまには偉いぞレナ!

ファリスがロープをのぼりきった後。
俺は脱出するべくしっかりとロープをにぎりしめる。
・・・が、
「あんたはいいのよ!ファイガ!」
レナの放った炎によって、縄は焼き切れ俺の掌は危うく黒こげになるところだった。
あ・・・危ねー・・・・
「おいこらレナ?!」
「ほーっほっほっほ!ほーっほっほっほっほっほっほ!
 お姉様は無事、奪還いたしましたわーーーーー!!バッツは自分で出ていらしたらいかが!?
 ほーーーほっほっほっほっほ・・・・(フェードアウト)」
こいつまた何かにとりつかれてんじゃねーのか・・・?
「バッツーーーーーーーーがんばれーーーーーーー」
おそらく、レナに引っ張られているのであろう。
ファリスの声がしだいに遠くなっていく。
・・・・おーい・・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

数時間後。
 

無・事・脱・出!
ふっ!愛の力さえあれば何でもできるんでぃ!
・・・自分で言ったとはいえ、このセリフ結構恥ずかしかったりして・・・(汗)
まあ、何はともあれ再出発・・・・

ずぼっ

・・・「ずぼっ」・・・?
穴・・・
穴ああああああああああああああああ!
 
 
 
 
 
 
 

それから、休む間もなく罠・罠・罠・・・・
いやー面白いぐらいにひっかかるひっかかる・・・・
もとい、全然面白くない。

タイクーン城に入った直後のガルキマセラの大軍にはさすがに死ぬかと思った・・・
しかし・・・しかぁし!
なんとか大広間まで辿り着いたのである!目的地まで推定100m!!
・・でもさすがに簡単には通してくれないんだろうな・・・・
 

予想通り。
これ以上は無理だろうと思うくらいの種類の罠。
あっちを見てもこっちを見ても罠・・・
「おーーーーーーーっほっほっほっほ!
 いかが!?タイクーン城の資金半分かけて制作した超一流の罠達は!」
そんなことやってるヒマがあるんなら国のために働け小娘。
「罠その一!推定89度の上り坂!さらに止めどなく流れる油!
 油は自然に優しい食物油!どう!?」
いや・・・どうと言われても・・・どう反応すればいいんでしょうか・・
あまりの馬鹿らしさに、脳みそがマヒしはじめる俺。
レナって・・・本当にここの姫なのか!?この城の半金でこんなモンなのか!?
「おーっほっほっほ!あまりの恐ろしさに声もでないご様子ですわね!
 でも、落ちたら命はありませんわよ〜!ゴブリン!カモン!!」
「ゴブリンなんぞに殺さ・・・・・」
余裕の表情で、振り向いた俺。
・・・・・・そのまま硬直する。
「な・・・・・・!?」
「どう?!私のペット第一号キング・ベヒーモスの「ゴブリン」ちゃんよ!」
おいおいおいおい・・・・
のぼれば落ちる。落ちれば食われる・・・・
しかしだなぁ。
「レビテト!」
飛行の術さえあれば楽勝なんだが・・
「う゛っ!盲点だったわ!」
そう言い残し、レナはさらに部屋の奥へと走る。
こんな馬鹿げた事いつまでやらせる気ですか・・・・?
 

「罠その2!無限の矢!このスイッチを押すことにより半径十メートルの範囲内に降り注ぐ!」

ぽちっ

・・・・自分で押してどうする。
レナの言葉通り、降り注ぐ矢。
見事にレナも巻きこまれている。いやぁ大笑い。
「よ・・・よくもやったわねぇ!?」
「俺は何にもやってないんだが・・・」
「ええい問答無用!私からおね〜さまをどうしても奪いたいようですわね!
 ふふん!相手にとって不足はありまくりですけどうけてたちますわ!
 ほーっほっほっほっほ・・・」
一行目まで正解。
ところで・・・こいつは高笑いしないと喋れないのか・・・?
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「罠そ・・・その59!」
いい加減にしろよ・・・
どんどんエスカレートしてるぞ・・・本気で殺す気か?
「この、キング・ベヒーモスの「ゴブリン」ちゃん(再登場)と戦っていただきますわ!」
あいつ一回こっきりキャラじゃなかったのか・・・
ともあれ、このキング・ベヒーモスを倒さなきゃ進めないって事だな・・・・
 
 
 
 

「GO!」
レナのかけ声とともに、飛びかかってくるキング・ベヒーモス!
おいこら待てぃ!
こいつ、普通こんなに素早くねーぞっ!?
俺が、問うまでもなく・・
「おーっほっほっほ!いかが!?戦闘用にしつけた「ゴブリン」ちゃんは!こっちからばんばん攻撃してさしあげますわ!」
しなくていい、しなくて。
・・・・ってレナにつっこんでる場合じゃないっ!

がしゅっ

キング・ベヒーモスの鋭い爪っ!
すんでのところで、俺はなんとかかわす・・・もとい、
かわしたつもりが、間合いがとれずにあさく腕が切れる。
ちぃっ!
軽く舌打ちをして、俺は剣をかまえる。
一発でしとめる!
「魔法剣フレア!」
手にした剣に炎が灯る。
そして、敵にむかって走・・・ろうとした瞬間!

「レナ!何騒いでるんだ!?」
「お姉様っ!?危な・・・」
レナが言い終わるのも待たず
キング・ベヒーモスの標的は、声の人物・・・ファリスへと移る。
やばいっ!
「な・・・・・っ!?」
 
 
 
 
 
 
 
 

キング・ベヒーモスの攻撃。
ファリスの脇腹をかすめ、そのままファリスは崩れ落ちる。
その数秒が、コマ送りのごとく鮮明に俺の目に映った。
「お姉様・・・・っ!?・・・・この・・・馬鹿ペットがあああああああああ!!
 ・・・デジョン!!お仕置きよ!お仕置き!」
叫くだけ叫きちらし、レナは走り去る。
おい!責任をとれ!責任を!!
・・・・って、そんな事言ってる場合じゃないっ
俺はファリスのもとへ走る。もちろん全力疾走である
「ファリス!!大丈夫か!?」
大丈夫なわけないのだが、この言葉ぐらいしか浮かんでこない。
しかし、予想外にも・・・
「おう、ケアルかけといたからな〜」
そこには何事もなかったかのように、笑顔で答えるファリスがいた。
は・・・はは・・・
「ちょっと驚いたけど・・・・・って、何で泣いてんだ?」
「な・・・泣いてないっ!!断じて泣いてない!!」
「嘘、泣いてた。へ〜え、お前でも泣くことあるんだな〜。ははん」
「・・・・本気で心配してたんだからな」
言ってからしばしの沈黙。
そして・・・
「・・・・ありがとう」

ん?
自分の耳を疑うようなファリスの台詞。
今・・・今なんて言った?!

「もう一回!もう一回言って!」
「っ・・・・二回も言えるか!」

別に礼なんて何回言ったっていいじゃんかよ〜〜〜
ケチッ
「・・・・」
そんな俺の心境は知る由もなく、無言で立ち上がるファリス。
「何?」
「子分達の様子が気になる。出かける」
・・・・せっかく俺が来たってのにもう外出する気か・・・?
振り回されてるな・・・俺・・
「・・・・一緒に行っていいか?」
「勝手にしろ」

・・・こうなったら、振り回されるだけ振り回されてやるっ
何処にだってついていく!
君の行く道になら・・・な!
 
 
 
 
 
 

その後。
レナの嫌がらせが酷くなっていったのを書き足しておく。
いい加減にしろよっ!
 
 
 

                   おしまい(続く?)
 
 

                   〜あとがき〜
かなり長々と書いてしまいました。
こんな駄文・・・
いや、文とも呼べない代物におつきあいいただきありがとうございます。
話の展開がめちゃくちゃですね。まだまだ修行が足りないっ!!
手直ししまくったからかなり遅くなりました。
手直ししても大してかわりませんね。あはは・・(泣笑)
 
レナの壊れッぷりがすごいです(笑)
お話のタイトル、以前BBSででた「風雲〜」がやっぱりいちばんぴったりだなぁと思ったのですが
reiさん御本人がわからないんじゃああれかなぁと思い、こんな感じにしましたが…
芸がなくてごめんなさいです(^^;

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